小学校の個別支援級のこと

息子が小学校に入学する前に知人から、様々な困難を抱えた児童が少人数のクラスで指導してもらえるという「個別支援級」の存在を聞きました。療育センターの主治医とも相談し、悩みましたが1年生の時から一般級ではなく支援級でスタートし、学校に慣れてから一般級へ転籍することを考えるということにしました。主治医からは息子について、不安が強く200%成功する自信がないとチャレンジできない、とても傷つきやすいガラスのハートの持ち主なので、なるべく失敗体験をさせないようにした方がいいと言われていたことと、保育園でもASDの診断後は加配の先生にサポートとして息子のそばについて頂き非常に助かっていたので、小学校でも少人数のクラスで手厚く見てもらえた方が良いと思っての判断でした。

卒園よりもだいぶ前に入学予定の小学校へ連絡して見学のアポを取り、校長先生と面談をすることになりました。息子は校長室に入るなり、席にも座らず部屋の中を物色し始めたので、面談後3分もせずに「この子は支援級の方が良いですね」ということになり、あまりの決定の速さに思わず私たちも先生も笑ってしまいました。その時の言い方がとても穏やかで温かく、また息子が興味を示した置き物や絵などを、ひとつひとつ一緒に見てくれる校長先生の様子に、私自身も安心して支援級に決めることができた記憶があります。

入学後しばらくしてから、息子の学校の場合は支援級から一般級へ転籍するケースはレアだという事を知り、支援級に入れたことを後悔した時期もありました。中学年を過ぎた今もまだ転籍に向けて試行錯誤しているところですが、現時点ではこの選択で良かったと思っています。息子と同様にグレーゾーンで、最初は一般級で頑張ってみたけれど、しんどくなって支援級に移ったといったご家族で、気持ちがこじれてしまっていたり、傷ついて自信をなくしてしまっているお子さんや親御さんの話を見聞きすると、自分たちも同じ状況になっていたかも知れないと複雑な気持ちになります。支援級の懇談会で、自分の子どもが「僕はダメだからここ(支援級)に送られたんだ」と言って落ち込んでいると涙するお母さんの姿を見て胸が痛んだこともありました。

私自身も、たとえば周囲から転籍について「一般級に移るためには、勉強だけでなく体育や音楽なども人並みに出来るようにしなくては」、「仕事なんて辞めてつきっきりで見てあげないと」など言われ、ショックを受けたりしたこともありました。また保育園のママ友(定型発達児のママさんたち)も、「小1の壁」ということで仕事を辞めたり、タイミングを狙って第2子を出産して育休を取得したりしている人が多い中、私の息子は発達障害で支援級に入るのに、仕事を続けたりして大丈夫なんだろうかと悩み続けていました。幸いなことに、今のところは、問題が起きるたびに何とか乗り切る方法を探し出して来れたのではと思っており(もっと良いルートがある、あったかも知れませんが)、少なくとも私の中では、この選択で良かったと気持ちに折り合いをつけられる様になってきた(多分)ところです。